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Tropical House Cricket/竃蟋蟀


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 カマドコオロギ。カマドとは、竈(竃)であり、昔の料理場には必ずあったものですが、最近では幾つ国内に現存しているやら、というところでしょうか?
 学名はGryllodes sigillatus、海外での一般的英名はtropical house cricket。カマドコオロギと言うと、カマドという響きでカマドウマが思い出されるようですが、カマドウマとは名前の由来が同じですが生物学的には科からして違います。此方は直翅目/ORTHOPTERA、コオロギ科/Gryllidae、属名/Gryllodes、種小名/sigillatusです。シノニムとしてGryllodes supplicansがあり、一部では現在も使われているようですが、今後はGryllodes sigillatusが主流だと考えた方がよいかと思います。
 英名から分かるように熱帯産で、東南アジアを始め世界中の熱帯地域に生息していると言われ、流木などに乗って来たのか、台湾や日本の南西諸島、四国、本州等にも随分と昔に帰化しています。然し、熱帯産故に通年温度が保たれていないと生存出来ず、日本では年中暖かい竈(かまど)の傍で越冬していた事から、この名前が付きました。同じように、カマドウマはカマドの傍にいる馬のような昆虫、ということで名付けられているので、名前の由来はほぼ同じだと言えるでしょう。温度が15℃を下回ると生存出来ないとされ、人々の家庭から竈が姿を消して以来日本各地から姿を消し、現在は南西諸島や、本州では温泉地や恒常的に高い温度に保たれている施設周辺にしか見られなくなっています。
 分布する地域により大きさに幅があり、餌が豊富で温度が高い場所ではより大型化するらしく、30mmに達する成体も発見されているようですが、本州で見られるものは20mm程度に留まるようです。
 外見上はヨーロッパイエコオロギに近い褐色ですが、別に同属という訳ではないようです。食性は雑食性で、飼育してみた感じではフタホシコオロギ程肉食偏向が強い訳ではないので、ヨーロッパイエコオロギに近い飼育方法をすれば問題ないでしょう。
 ただ、個人的見解としては累代がまだ短いからか、植物性蛋白質だけではなく動物性蛋白質もヨーロッパイエコオロギよりも要求するように感じます。ヨーロッパイエコオロギと同じ餌で飼育していると、餌の食いがやや落ちます。それだけでも結局は共食いをしないで餌を食べるようなので問題はないと言えばないのですが。脱水に関してはどれ程耐えるのかはまだ実験していません。

 跳躍力はヨーロッパイエコオロギ程ではないですが、極めて俊足であり、単純な疾走速度では他のコオロギを大きく引き離します。よって、取り扱いがやや厄介な類に入るかもしれませんが、あまり気にすることもないでしょう。
 光を好まないようで、ヨーロッパイエコオロギよりも隠れていることを好みます。この辺も累代がまだ重なっていないからかもしれませんが。
 サイクルは70日と聞きましたが、僕の環境――平均気温が22〜24℃――ではもう少し掛かると思います。28℃などにすれば成長速度の増進が期待出来るでしょう。
 また、低温には極めて弱い感があります。他のコオロギが平気だった、18℃〜20℃という温度の時、幼虫が目に見えて少なくなりました(餌と水は関係なく)
 温度には、注意を払い、成る可く24℃以上を心がけるとよいでしょう。

 現在主流になっているヨーロッパイエコオロギと現時点では際だった違いを見つけられないので、ヨーロッパイエコオロギのように殖やされて行くとは思いませんが、カメレオン等の一つの食べ物に“飽き”が来る生き物には、こうした幾つかのコオロギを繁殖させることには意味がありますし、多様な餌を与えることはプラスにこそなれどマイナスにはならないと思います。
 強いて違いを挙げるなら、成熟サイズがヨーロッパイエコオロギよりも小さいから、周期を早める事が出来るかも……という処でしょうが、此は飼育下で養殖されるコオロギは大型化する傾向にある事から、あまり差には成り得ない気がします。

 別の意味の違いとして、歩く速度が本当に速いので、飼育しているトカゲなどがコオロギを追い掛け突進したはよいがよけられて壁面に激突する、という事態は想定されますので注意は必要でしょう。
 ドイツ、デンマークなどでは餌昆虫として飼育繁殖をしている人も多いようで、ドイツ語の洋書「Futtertiere」にも載っています。産卵数などがヨーロッパイエコオロギとどう違うのかはまだ不明ですが、ヤドクガエル飼育者ならば維持してみてもよいかもしれません。