ワラジムシはダンゴムシに似た土壌生物です。分類学上は昆虫類ではなく、甲殻類に属するそうで、親戚筋としては蝦や蟹が居ます。
斯う言うと、エビやカニが食べられなくなる人も出そうですが(苦笑)、彼らの体を覆う甲羅は、エビやカニの其れがそうであるように、炭酸カルシウムによって作られていると言います。
然し、触ってみると、カニやエビのような堅さは殆どなく、柔らかい感じです。小さいので味までは分かりませんが、少なくとも、小型の地上棲守宮、蜥蜴擬、蛙、有尾類などが高い嗜好性を示し、特に飼育困難とされる種に於いても高い有効性が認められる為、一部の飼育者の間では前々から話題にはなっていました。
然し、嗜好性がよい反面、大量繁殖が容易な種が中々見出されず、一般的な広がりを見せることはありませんでした。
ここ最近、何種かのワラジムシが御目見得しました。シロワラジムシと呼ばれる外国産のそれと、国産のホソワラジムシと呼ばれる其れ。この二つは、飼育繁殖方法が確立されたようで、コンスタントに繁殖させ、餌として用いることが可能となっています。
却説、彼らはエビカニの親戚ですが、陸上生活を営んでいます。然し、乾燥には強くないようで、腐葉土の隙間などに生息し、主に葉っぱや昆虫などの死骸を食べています。
斯うした虫をわざわざ飼育繁殖する意味ですが、先述したように、コオロギに直ぐ餌付かない生き物への有効性があります。
シロワラジムシは柔らかく、中央が飴色で縁取りが白いという目立つ彩色からか、或いはその独特の緩やかな動きが本能を刺激するのか、地上棲カエル――ヤドクガエル、餌付きが悪い極東蜥蜴擬の幼体(チャイニーズ、ベトナム共に)が良く食べます。
極東蜥蜴擬は、自然下でもワラジムシを常食していると言われますから、初期幼体には迚も向いていると言えるかもしれません。また、有尾類も良く此を食べるという話です。何より、小型サラマンダーは動きが緩慢で大人しい種が多く、コオロギを入れっぱなしにしておくと、コオロギに逆に襲われるという懸念がありましたが、ワラジムシはコオロギほど性質が荒く無い事から、中に放置しても飼育個体に害が及びにくいという点も長所と言えるでしょう。
国産のワラジムシ(捕獲したものであるようで、種は不明)がカナヘビを食べた、という話を耳にしましたが、シロワラジムシやホソワラジムシに限って言えば、その危険性は極めて低いと思われます。寿命や、間違った飼育環境で死にかけている個体は別ですが……僕自身、トカゲモドキ、カナヘビ、トカゲ、ヤモリなどに積極的に与えており、大量に入れてケースの中で食べ残されている事も度々ありますが、それらが飼育生物を襲って食べた、という経験は皆無です。
カルシウム分を補うという意味合いに就いては、どれ程の効果が期待出来るのかは審らかではありません。外観から、そうではないか、という事は期待出来そうではあります。
コオロギはカルシウム分に対する粗蛋白や脂質が多く、コオロギだけを与えた場合に肥満個体になってしまう、という現象は両生類で実際感じるところではありますから、適度にワラジムシを与える事で、肥満体にならない様調整が利くかもしれません。カルシウム不足を予防する効果に関しては、データを採った事もないので、分かりません。
まぁ、蜥蜴擬などでは未消化で殻とか出てくる事もあるので、あんまり意味ないかもしれませんが(爆) 様々な餌を与える、その一翼を担う餌(昆)虫として、ワラジムシは結構使いやすいかと思うのですが、如何でしょうか。

御馴染み糠漬けタッパー
先ずは、シロワラジムシから。ゴキブリ専門店AQUA HOLIC(ぇ)が発祥とされる此の虫は飼育繁殖が迚も容易ですが、大きさが5mmを越えることはまずない、小さなワラジムシです。性質は大人しく、動きは緩慢で、滑らかな壁面を登ることは出来ません。亦、水滴などに溺れやすい為、飼育する時は注意が必要です。
飼育繁殖は容易ですが、コオロギのように、一気に大量繁殖が出来る訳ではありません。トビムシと同じく、緩やかに殖える型の虫です。繁殖形態は僕は良く分かってないのですが、採卵、孵化という管理をする必要性はなく、何時の間にか殖えている感じです。話では卵胎生のような殖え方みたいです。故に一匹のメスから一度に殖える数は数十がそこそこ。餌として使いたいならば、種親の数を確保することが重要になります。
最初の数ヶ月〜半年程は、この種親の繁殖に心を砕くことになります。シロワラジムシに限らず、ワラジムシは、餌にする分を購入するような餌虫ではなく、自分で必要とする数だけ殖やして使う虫です。この辺、やや取っ付き難いかもしれませんが、コオロギのように手間が掛かる訳ではないですし、一度軌道に乗ってしまえばかなり楽な部類に入りますので、遣ってみて損はないと思います。
シロワラジムシの飼育繁殖は、基本はトビムシと同じです。大きめのタッパーウェアを用います。
彼らは別に腐葉土で無くても飼育出来るワラジムシで、床材は熱湯消毒したピートモス長毛種を用いて可能です。無論腐葉土でも可能なのですが、なんか色々湧くことがあるので、腐葉土の場合は直射日光殺菌が必要になるでしょう。
現在、ピートのみ、腐葉土ピートの二層、など色々試しているところです。個人的には、長毛種ピートのみの方がよい様な気がします。
意見は分かれるようですが、僕はコルクバーグ、或いはヘゴ棒をケース内に入るぐらいにカットしたものを入れています(此らも勿論煮沸消毒済み。熱湯を浴びせるだけでは不安なので、僕は煮込んでますが、其処までする必要はないかも)。
斯うした物を入れると、成体サイズのシロワラジムシがそれを住処にするように感じます。入れなくてもよいかもしれませんが、空間の有効活用になりますし。注意点は、この住処には霧吹きなどはしない、という事です。空中湿度のみを保っていれば問題なく、べちゃべちゃに濡らす必要性はありません。寧ろ良くなさそうな気が。
この住処に居着いている個体は餌にはせず、ピートの中とかに埋まっている方を餌にします。ま、ヘゴ棒(コルクバーグ)をケースの端にコンコンと叩きつけると、ぽろぽろ落ちて取り出しやすいので、使ってもよいんですが。使いすぎると直ぐ居なくなるかもです(この辺のバランスが難しい)。

餌はドライイースト、フレークフードなどです。此は個人的な主観ですが、シロワラジムシに関して言うならば、少しぐらい黴びても問題ない様に見受けますので、フレークフード(テトラフィンとかですね)がよいのではないでしょうか。ドライイーストだけだとどうにも今一つな感があります。
。全面が黴びまくり、というのは、密閉容器だと酸欠の原因になってしまうので問題です。が、少しぐらい黴びても全然平気ですし、寧ろ黴びた周辺にシロワラジムシが喜んで集まっているのを見る限り、適度な黴びを好むのかも。
黴びもそうですが、そもそも体が大きく良く食べる為、トビムシよりも多くの餌を入れることになりますから、酸化した時に酸素が足りなくなる可能性が増します。蓋を少し開けて換気するぐらいは日々のメンテナンスに取り入れましょう。
温度は22℃〜24℃程度で維持しています。温度変化が激しいと、密閉容器内が結露してしまいます。シロワラジムシは水滴に弱く、溺れてしまう為、水滴が生じないような注意が必要になります。
ワラジムシはその外観からカルシウムを多く含む餌として期待したいところ。無から有は生まれませんから、カルシウムを多く入れてみるのも手です。卵の殻やアサリ、シジミなどの殻を煮沸し、取り出して水に晒したものを暫く天日干しするとぼろぼろになって来ます。此を少し入れてみるのも手ですが、面倒なら普通にカルシウム剤を餌に混ぜ込んでも構わないでしょう。フレークフードなどのエビを主原料とする餌を与えて居るならば与えなくても良さそうですが、常に囓れるカルシウムがある方がよいと思います。
左上の写真は、コウイカの背中に入っている骨です。海岸で見つけたものですが、此を適当な大きさに割り、入れて措くのもよい手段と思います。店で販売されているコウイカにも、これほど巨大ではありませんが、ちゃんと入ってます。但し、加工されている場合は、もう棄てられてしまっているでしょうが……(苦笑
此の背骨、ワラジムシ以外にも使えるそうなので、カメやコオロギのケースの中に入れておくと、安価にカルシウム分を補給出来るかもしれません。海岸で拾った場合は、煮沸するなどの配慮は必要と思いますが。
ホソワラジムシは、シロワラジムシに比べてやや大きく、動きもそこそこ素早いです。堅さも程良くあり、成虫で10mmを越えるので、成長した亜成体サイズのトカゲモドキなどに適しているかもしれません。色彩的にはくすんだ灰色とでも云うべき暗色なので、両生類や有尾類にはシロワラジムシの方が適している感はあります(彼らは明るい色の虫に良く反応しますから)。
効率的な飼育方法、繁殖方法に就いては、僕も現在研究中です。今後にご期待下さい。腐葉土食べてるらしいですね。