ZUIKO DIGITAL ED 14-42mm F3.5-5.6 "Reverse Custom"

■高倍率マクロレンズの改造の端書き

 切り貼りデジカメ実験室 『 標準ズームを“逆付け”した「高倍率超マクロレンズ」 』という記事を読んで、これは面白そうだなぁ、と思って、管理人も作ってみることにした。

 おそらくこのレンズを製作してみたいと思う人の多くがそうであるように、管理人の場合も、撮影の被写体は虫がメインだが、取り分け中でも、ムカデを撮影したいと思っていた。ムカデの標本がそこそこ集まったのだけれど、拡大して細部を見ないと種の同定が出来ない。しかし、顕微鏡と接続ジョイントを購入する踏ん切りがどうにも附かなかった。なんか他のものばっかり買ってた(このあたり、所詮は趣味家ですな)。このレンズを改造するのに必要な予算は、それに比べればフラッシュを含めてもかなり安い。拡大率は顕微鏡ほどではないにしても、種の同定に活用するには事足りるのではないか、と思ったのである。あと、屋外に持ち出せて、なんだか色々撮影したら面白そう。

 MP-E 65mm F2.8 1-5× マクロフォトというレンズは、小さいものを撮影する世界では有名で、管理人も聞き及んで居たのだけれど、何だかんだ散財することもあって、どうも購入に踏み切れなかったところがあったりなかったり。何しろこれを購入するとなると、カメラとセットで購入することになり、金額はスゴイことになる。欲しいなとは思ったのだけれど、結局のところ、優先順位が低かった。
 だが、これならば工具を零から揃えても、二万円するかしないかで制作出来そうかなぁ、と思ったりしたのです。(結論から言えば、専用フラッシュは有ると無いとでは利便性が天地雲泥の差であるので、改造するフラッシュの購入代も加わり、二万円半ばから三万円ぐらいにはなるだろう。材料費としては、一万円半ばぐらいだろうか?)。

 という事で制作してみたのだが、工具集めから始まり、結局完成したのは二〇〇九年九月の頭、記事を読んでから三ヶ月も掛かってしまった。(ちなみにストロボ改造には、更に三ヶ月掛かった。実際の工作時間は二時間ぐらいだったと思うけれど)
 ただ、これは管理人には良くあることなのだが、「平行して色々なことに取り組む」せいであって、実際の工作時間はそ う長くはない。たぶん四時間も掛かっていないかと思う。

 管理人の作業にはよくあることだが、一気呵成に遣ったわけではなく、一日十五分とか三十分とかを使ってこつこつ工作していたので、実際の工作時間はもうちょっと長かったかもしれないし、短かったかもしれないが、まぁ思い出してみてそんぐらいかなぁ、ということ。(工作しない間は、材料などは纏めて菓子箱の中に入れてあり、作業する ときはその菓子箱を空ける、というスタイルである。みかん箱でも可)

 休日に取りかかれば、午前中だけで完成させられるかもしれない。ただ、半田付けや半田剥がしの工程は、集中力とか眼精疲労とかもあるので、そうそう連続して出来ないかもしれないが。
 いずれにせよ、遣った感想としては、「もう二度とやるもんか!」というのが正直なところ(笑)

 実際の制作方法は先述のリンク先に全てあるので、殊更此処で何かを管理人が書く必要性はないのだが、制作中に色々なところで躓き、材料を買いに何度もホームセンターなどに足を運ぶ羽目になった。

 計画性がない管理人が主な原因ではあるのだけれど、それ以外にも躓くポイントが幾つかある。そのあたりの苦労の軽減ぐらいには役に立つかもしれないと思って、あとはまぁ、あまり経験がないが故に、やたら苦労したから、なんか書かないと損かなぁと思ったので記録的な意味も込めて書いてみた。といっても、制作中の写真とかは別にない。というか、管理人が躓いたところを連々と書き並べたものというだけです。


■ 材料集めに関する端書き ■

 管理人は14-42mmのレンズを持っていなかったので、Yahooオークションで入手した。状態にもよるが、管理人が入手した時節は、5000-8000円ぐらいで手に入るようだった。

 プラスティックマウントは個人的にとても嫌いなので(プラスティック・マウントが好きだ!という人に会ったことはないけれど……エンジニアリング・プラスティックだとしても好きではない)、管理人もリンク先にあるように金属マウントにしたかったが、ジャンクのフォーサーズレンズを見かけた記憶もなく(そういう店に出入りしていないからかもしれないが)、ジャンクにして良いというようなレンズも手元には見あたらなかったので、将来的に金属マウントのジャンクを入手出来たら交換することにし、今回はプラスティック で制作することにした。(簡単に妥協する意志薄弱な人間であることが垣間見えるエピソードである)

 これが記事と少し違う部分になり、後々色々と悩まされた。本来、リンク先の記事にリンクを貼ればよいだけのことに、わざわざこんな頁を書いたのは、そこらへんが理由でもある。

 というのも、記事を読んでみれば分かるが、マウントを後ろに移植し、さらに元マウントがあった部分にはフィルタや樹脂板でカバーをするのだから、この時点でネジが四つ増えている。この増えたネジは、記事では金属マウントを移植しているので、そちらからネジを持て来たのではないかと推察するが、正確なところは分からない。

 問題は、14-42mmのマウントを固定しているネジである。外してみれば分かるのだが、ネジのピッチがJIS規格ではない。つまり、マウントと一緒にネジを移動させようとすると、ステップダウンリングにどのようなタップでネジを切るのか?というのが問題になってしまう。

 最初、このネジに合うネジ山を切るのだろうか、と思ったが、記事の写真をよく見てみると、使っているタップのピッチは、JIS規格であるように見える。JIS規格でないとしても、少なくとも、マウントの固定に使われているネジのピッチとは違うように見えた。記事中には、タップの規格に就いて記述は見あたらない。

 そもそも、ネジも簡単に手に入るものはJIS規格なので、元マウントがあった部分のネジをマウントと一緒に移動してしまうと、そこに使うネジが見あたらなくなってしまう。接着したり、パテか何かでねじ穴を埋めて、もう一度マウントを切るという方法も無くはないが、耐久性が疑問になる。

 元マウント部分のカバー固定などには、そのまま元々あったネジを使うのかもしれない。理にも適っている。そう考えて、移植したマウントは、JIS規格のネジを別に入手して固定することにした。一般的に手に入るタップはJIS規格のものであるからだ。まぁ、インチとかも入手できなくはないが。

 記事中では触れられていないので、マウント部分のネジが何処から来たものかは謎である。というのも、金属マウントを固定していたネジを移植したのではないかと最初思っていたのだが、写真を見てみると、金属マウントに使われているネジと、記事でマウントを固定しているネジは、どうも違うものの様に思われるからだ(といっても、昔のネジの色はああだった、というだけの可能性もある)。
 昔のオリンパスのレンズは廉価レンズであっても国内生産だったから、ピッチがJIS規格だったのだろうか。国内生産だったとしても、必ずしもJIS規格のものとは限らないような気もするが。特にマウント部分に使われているネジは超低頭ネジになっているから、時計あたりに使われているものかもしれない。まぁ、つまるところ、幾ら想像したところで答えが分かる筈もないので(この程度のことが気になるからといって、手元の国内生産レンズを解体する気にならないので)、考えない事にした。

 ということで、工具をホームセンタなどに買いに行く。

 ホームセンタで購入するのは、

・タップ(M2
・ドリル(1.6mm金属加工用)
・タップレンチ(M2対応品)

 場合によっては、

・砥石(400番か1200番)
・耐水ペーパ(1200番目ぐらい。砥石の1200番がない場合)
・黒色1mmABS樹脂板

 あたりかと思われる。後述する電気ケーブルやネジも、取り扱っているようならば購入してもよいかと思う。もちろん、にホームセンタで全部購入する必要性はない。管理人は工具はホームセンタではなくて工具専門店で購入している。

 使うタップはM2と呼ばれるサイズのもの。先タップ、中タップ、仕上げタップの三本セットで900円ぐらい。ハンドタップにはI、II、IIIという番が振られているものもあるのだが、これは一番目から先タップ、中タップ、仕上げタップになっているらしい(どかの本に書いてあったのを覚えただけ)。一本で売られてるタップは普通二番目のもので、つまり中タップになる。これ一本でもネジは切れるので、一本でも問題ないんじゃないかなぁと思う。

 M2のネジを切る場合、下穴は1.6mm径となる。金属加工用ドリルの1.6mmを購入すればよい。ドリルは何本か持っていたが、1.6mmという数値のものはなかったので管理人も購入した。金額は忘れたが、500円はしなかったかと思う。

 タップレンチがない場合は購入することになるが、注意すべきはM2以下のタップを廻せるものを購入すること。一般的なものはM3からになっている。900円から1200円ぐらいで購入できる。この為だけに買うのは躊躇われるかもしれないけれど、タップレンチは他の道具で代用できない。不要ならば工作した後で、オークションなどで売り払えばよいかと思う。それに、ネジって一回切ってみると、ちょっと病みつきになる魅力がありますよ?<病んだ意見

 さて問題はマウントを固定するネジで、ネジの頭が相当低くないと出っ張ってしまう。探したのだが、簡単に手に入る範囲では使用出来るぐらい頭の低いネジは見あたらなかった。注文すれば入手可能だろうが、手軽にと云うことで、M2のネジ長6mmの鉄ネジを購入した。バラで購入したので、一本10円ぐらい。ステンレスでないのは頭を低くする削り作業があるからだが、ダイヤモンド砥石とかを使って、頑張って削る気があるならば、ステンレスでも問題はない。

 ABS1mm板は300*200mm350円ぐらい。専門店で購入すればもっと安いが、送料などもあるのでホームセンタで入手してしまうのが手軽だろう。
 ABS樹脂板の特徴は、線をつければ簡単に線に沿って手割り出来る点にある。アクリルよりも加工が簡単だし、黒色のものが安価に入手可能だというのも捨てがたい。しかし、精密や細密な仕上げには向かない。ただ、他の素材を使うとしても、個人で出来る加工精度は知れたものだし、円形の加工になると、治具作りなどのどこかしらの工程で機械に頼らないと無理だろうし、まぁつまりは面倒だから、光軸などに関わる部分でない限りは精度はあまり気にしないのが幸せではないかなぁという気がする。

 電気コードは1m160円程度。使うのは五分の一程度。電気屋で購入した。
 最初この改造を見たときは、このあたりは購入せず、IDEHDDのケーブルを使うつもりだった。しかし、昔購入したIDEHDDケーブルを、 どうもリサイクルに出すときに一緒に全部出してしまったようで、見あたらなかったので致し方なく購入。古いHDDケーブルがあるなら、それを流用しても良いので はないかという気がする。ただし配線間違えには気をつけよう!(苦笑)
 余談だが、配線を間違えても、レンズを上手く認識せず、フォーカスや絞りが動かなかっただけで、電子パーツが破損するような事にはならなかった。何故そんな事を知っているかというと、あっさりと配線を附け間違えたから(遠い目)

 半田ごて、はんだ吸い取り線、ハンダを購入する。市販されているハンダ吸引器では、今回のような小さいパーツのハンダ除去には向かない。ハンダは幾つか種類があるが、管理人は何となく無鉛の精密基板用というのを使うことにした(ただし、鉛が入っているハンダのほうが、扱いやすいのは確かなので、このあたりは好みだろう)。

 グルーガンも飼育容器改造には便利なので、持っている人も多いのでは? 新規で購入しても800円ぐらい。

 他に使う工具と云えば、カッター、ニッパー(ハサミでも代用できる)、金鋸。金鋸は、気力と根性と体力があれば無くても構わないが。

■ カメラ屋さんに買いに行くのこと ■

 ステップダウンリング、ステップアップリング、プロテクタフィルターなどはカメラ専門店で購入する。リングはそれぞれ400円前後。フィルターはメーカーにもよるが、28mmのものは、定価で2100円だが、購入時の実売価格は1050円ぐらい(何故かHAKUBAKenkoを一個ずつ)。

 レンズを外す道具(カメラオープナー。蟹目回し)は持っていなかったのだが(ガラスはリング状の金属パーツにネジが切られたもので止められており、これは外せる)、Kenkoのものを爪を引っかけたりプラ板で廻そうと試みてみたり、ガラス部分を廻して摩擦で開かないか、ちゃがちゃいじっ ていたら外れた。
 接着剤には異種接着だということでセメダインのスーパーXを使用。フラッシュを取り付けることを考えると、接着剤が光を通してしまうと撮影に影響が出るよ うな気がする。ブラックのものを使うことにした。


■ はんだ付けに苦労するのこと ■

 この工作の中で地味に面倒だったのが半田の部分で、合計で四時間半は此処に取られている(ただし、これだけ時間が掛かったのは、半田付けをする線を間違えて半田付けしてしまったのが原因である。まぁ、間違えて半田付けして、接続して電源を入れても、壊れることはないということは分かったから良しとしよう)。
 余談だが、ハンダが弾ける場合があるので、工作時には封筒などに 使われるぐらいの心持ち丈夫ぐらいの紙を使って、ハンダ付け部分以外は完全に被覆してしまうのが安全だと思う。小さいハンダとか落ちる危険性があるし(リンク先記事では殆ど覆っていないが、これはハンダ付けに慣れているからだろう)。

 それから、半田付けの時にはテレ端にして作業をするが、これがちょっと重さをかけると広角端にひっこんでしまうので、レンズに何かを咬ませるとよい。大きさとしてはメモリスティックぐらいだったので、管理人はメモリスティックアダプタを咬ませていた(つまるところ周囲に転がっていたものを使っただけ。段ボール箱をカットして巻いてガムテープで留めるのがよさそうかな、と思う)。


■ ネジを改造するのこと ■

 前述したように、マウント部分のネジをどうするか。マッチするネジが購入できたならば、それに越したことはない。だが入手できない場合は、鉄ネジを削るのが簡単だろうと思う。使用するのは前述したようにM2サイズの長さ6mmのもの(ネジ部分が6mmの意)。

 プラスの刻印は深くまで刻まれているので、上面を削っても使うドライバを小さくすれば(先端が鋭い、ラジオドライバを使えば)、問題なくネジを廻せる。

 方法は単純でステップダウンリングにJISM2でねじ山を切ったところで、削る予定のネジを根本までしっかりと締める。そして、平滑な砥石で削る(あま り使っていない面、あるいは側面を使うとよい)。

 ステップダウンリングは四点で接地するので、力を石に対して垂直に掛けて滑らせれば、平行に削れる。砥石の番目は400でやってから1200あたりで仕上げると手軽なのだが、どの家庭にもそんなに砥石があるものでもないだろう。
 荒削りだけ砥石でやって、あとは平滑な木材に貼り付けた耐水ペーパで仕上げるという手もあるかと思う。鉄は柔らかいので、1200あたりで全部削ることにしても、やってもちょっと疲れるぐらいで十分に削れなくもない。ただ、手に持つヤスリ(鑢)ではやらないほうが良いのではないかと思う。荒い研ぎ方をすることで、ねじ山が削れてしまうことが懸念されるからだ。少しずつ少しずつ、綺麗に研ぐようにして削っていくのがベターかと。

 仕上がったネジは鉄の面むき出しなので、錆が心配になる。すぐによく拭き取って乾燥させ、場合によっては焼きを入れて錆を抑制してもよいだろう。焼きを入れても問題のない部分に使われるネジだと思う。たぶん?

 余談だが、タップでネジを切るときは、半山しないぐらいから1/3山削ったら戻すぐらいで丁度よい気がする。半分ぐらいのところでちょっと欲を出す と、パキリと折れてしまうへまをやることになる。なまじ削ることは出来るので忘れがちだが、戻せなくなっちゃうのだ。

■ LED照明を附けてみる ■

 リバースマクロは、ものすごく暗いレンズになる。そもそも改造する前のレンズが明るいレンズではないが、改造後は尋常でなく暗い。はっきり言って、通常の状態では晴天の直射日光下でもない限りはファインダで対象物を視認出来ない。撮影時にはフラッシュを焚くが、ファインダのフォーカスには明るさが必要になる。夜にだって撮影はしたいし、室内ですることが多いだろう。というわけで、照明を附けてみることにした。被写体が生物である場合、光で逃げてしまうかもしれないが、取り敢えず考えないことにする。


■ その他メモ ■

 絞りはF11-F13あたりが良いっぽい。それ以上絞ると画質が悪くなるようだし、これより低い絞り値では被写界深度が浅すぎる(撮影の仕方次第ではあろうが………)。
 ストロボは正面光とは別に立体を際立たせる為に、もう一つ、できれば二つ光源があると望ましい。上からの光源とは別に、被写体によっては下から上げる為に、小さいレフ板とかくっつけると良いかもしれない。ただ、被写体が小さく、地面に近接したい場合があるので、取り外し可能に作るのがよいだろう。

 多重焦点合成には、CombineZMを使用している。