
グレートプレインラットスネークはアメリカ中央部からメキシコにかけて広い範囲に分布するヘビで、その分布域によって外見に微妙な差違が生じる事が知られていますが、その中でも一際変わった地域に生息する個体群がいます。グレートプレインから離れ、連続性を持たない飛び石のように離れた場所、ユタ州とコロラド州の間の山岳部、標高1200-1500mの高地に棲息するというもの。此の個体群は、もともとは亜種ではないかと目されていたそうで、Elaphe属だったのでintermontanaの名で知られていましたが、Pantherophis属に移動になったことに伴い、末尾が変更になりました。とはいえ、此の個体群が亜種になる事に関して検討されなかったからなのか、検討されたけれども尚そうなったのか、経緯は不明なのですが(論文を読んだんですけど、触れられてなかったかと思うのですが………)、現時点では亜種としては認められていないようです(といっても、この記事を書いた当時という意味です。2006年ぐらいの段階)。だからといって、emoryiと交雑してしまうような人は、そもそもこんな蛇を飼育したりはしないでしょう。其れは其れ。此は此。全然別物なのです。というか、実際のところ実物は全くの別物です(別種だという意味ではありません)。
分布域の図を見れば一目瞭然ですが、そもそも棲息地自体が、グレートプレインラットスネークの生息地域からかなり離れており、ポツンと飛んでマーキングされていたりします。とはいえ、アメリカ大陸でありますから、小さいマーキングも、地図で縮尺をよく見てみるとかなり広大。だから、確かに産地がさらに分けられるかもしれない、と思うは容易いですが(河のこっちがわと向こう側は違うかも、という考え)、ホントにちゃんと捕獲した場所によって分けて系統立てて繁殖しているブリーダーがいるのが、アメリカン・ホビストの恐ろしいところです。日本で言ったら、ジムグリを県で分けてるだけじゃなくて盆地や山で系統分けてるようなものですからね(でも、それって理に適ってますよね。県で分けるよりも余程理に適っている)…………いえ、日本にも、そういう人いたような気がしますね………
特徴としては細身であること、細長い横顔と、最大長70-80cmという小ささでしょうか。何処となくSenticolis属などを彷彿とさせる顔付きで、シュルツのナメラ本で見て以来、長らく飼ってみたいなぁと思っていたのですが、入手の機会に恵まれませんでした。国内には入って来てはいたようなのですが(昔入れたことがある、という話を聞いたぐらいでしたが)、そもそもアメリカでも出回る数自体が少なく、さらに価格もそんな安くはなく(高くもないですが)、人気どうこう云う以前に知名度が低いので、そんな代物を輸入する奇特な業者もおらず、結果、そうそう流通するようなヘビではないということです。人気がないって悲しいですね……でもまぁ、偶には輸入されることもあるようです。
ただ、この写真の個体は、それまで写真がよく出回っていたintermontanaとは模様が異なります。よく知られていたのは、こんな模様が消失するようなものではなく、きちんと綺麗な斑紋(ブロッチ)が入るものでした。また、地肌の色が鼠色ではなく、焦茶色だったと記憶しています。あの写真の個体は、何処ら辺の産地だったのか、それも知りたいところですね。とはいえ、それはそれ、これはこれ、この個体もまた、素晴らしく美しいと思いますけれども。
虹彩の色は山吹色で、斑紋内部に入る黄色も鮮やかで、縁取りに黒は殆どありません。このあたりはemoryiの系譜と云った処でしょうか。取り敢えず写真の個体に附いて来た情報としては、"Green River UT."。UT.はユタ(Utah)州の略ですから、此の個体はコロラド州側ではなくてユタ州側で捕獲されたものを起源としたものであるようです。グリーン・リバーというのは、ワイオミング(Wyoming)州からユタ(Utah)州まで南北に流れる川で、コロラド川の支流の一つ。ワイオミング州とユタ州にはそれぞれ、この河が側に流れているからという理由で、グリーン・リバーという名の附いた町があるのだとか。ただ、このグリーン・リバーという名が、川沿いで捕獲されたものだからなのか、それともグリーン・リバーという町の側で捕獲されたものなのか、どっちの意味なのかは不明です。まぁ、どちらの意味でもだいたい同じ地域を意味すると思うので、大差ないようにも思えますが。ちなみに、ユタ州のグリーン・リバーという町は、標高が1200mぐらいのところにある町で、人口は1000人だそうです。
本種の魅力は、なんと云っても細長いその風貌(とはいえ、写真の個体は、過去に管理人が見た写真のものよりも顔付きがやや短めですが………)、スレンダーなその体躯(細いというだけですが)、そして最大長が小さい!というところでしょうか…………う〜ん、言葉にすると、魅力が今一つになってしまいますね。
■ 飼育各論 ■
高山種に位置付けられる本種は、グレートプレインラットに比べると、やはりやや神経質なところがあるようです。特に、人間に対しては慣れるというそぶりは今の所見せません。ただ、性質は大人しく穏やかです。逃げ出そうとはしますが、噛んでくるような攻撃性は見受けられませんし、CBであれば飼育は難しくないようです。WCの飼育は、それはもう物凄く面倒だそうですが……。それを考慮に入れると、一端拒食をしてしまうと、厄介な性格なのかもしれません。つまるところ、高山系のナミヘビとしては一般的な性格をしている、ということです。ただ、乾燥に弱いという印象はなく、脱皮の皮も極端に薄いという印象もありません。亜成体以上ならば、極端に乾いていない環境では、水苔などを入れなくても脱皮はします。落ち着けたいならば、ウェットシェルターなどを用意するとよいでしょう。
コーンスネークに近縁ではあるのでしょうが、だからといってコーンスネークと同様のものだと考えない方が安全ではないかと思います。棲息地の環境が違いすぎるからです。といっても、WCではないCBの飼育は容易な部類であると思います。ただ、り飼育温度は23-26℃を目安にするのが安全であるように感じますが。或いは高温でも普通にしているのかもしれませんが、取り敢えず管理人は高温に曝した事がないので分かりません。だいたい24-25℃を基準とする感じでしょうか。もっと涼しくてもよい筈ですが、これ以上下げる意味もないので。夜間はもう少し自然に下がって22-23℃程度になっているかもしれませんが、日による、というところでしょうか。ただまぁ、感覚的に、もうちょっと暖かくても問題なさそうですけども……(27℃ぐらいでも普通にしていたし………ただ、30℃という温度は危険である気がしますけれど)。
管理人はそもそも、そんなに大きな餌を大量に与えてすぐに大きくする………というような飼育スタイルは取っていないのですが、それとは関係なく、本種は小さい餌を好むようです。消化の速度を見たところ、多少大きい餌を与えても食べるかもしれませんが、吐き戻しされたら怖いので、そういう危険な真似はしてません。試す気も起こりませんので、それが明らかにされることはこのサイトではないでしょう。たいだい、胴体と同じ太さかそれ以下のサイズを与え、量の少なさは数と頻繁さで補います。具体的には一般的にホッパーが普通、最大でマウスのMサイズというところだと思います。まぁ、生産業者によって名前が同じでもサイズって違いますから、あくまで参考ですが。
高山に棲息する種類は、あまり餌を食べない傾向がありますが、それほど神経質になることもないでしょう。一週間に一回ぐらい与えればよいでしょう。ただ、本種の魅力は、他の高山種の多くがそうであるように、その流麗な体の曲線にありますから、餌を与えすぎて太らせてしまっては本末転倒という気がしますが。
■ 繁殖 ■
普通のナミヘビの繁殖方法で繁殖します。寝かす温度は、そこまで低めでなくても問題ないようです。
産卵数は四個から五個ぐらいが普通であるようです(最大産卵数は知りません。どっかに書いてありましたっけ?)
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